心理的リアクタンスに要注意
「ニーズを捉えた会話をすること」
それこそが、心の響く会話――つまり、ガンガンに人から好かれ、人脈が拡大していく会話のコツなのですが…。
実は、ニーズさえ捉えていれば、すべてうまくいくわけじゃないんです。人はそんなに単純じゃないんです。どういうことでしょうか。
たとえば、以下のように思っているAさんがいたとしましょう。
・Aさんのニーズ:そろそろ、この腕時計、買い換えようかな。お金がないから、1万円くらいで高そうにみえる腕時計がいいな。
で、雑貨屋をぶらぶらしていたら、店員がやってきました。
そして一言。
・店員:「その腕時計、もう古いですね。この腕時計にしてはどうですか。この腕時計、高そうにみえますが、なんと、1万円なんです」
まさしく、ニーズをとらえた会話ですよね。
だから、この店員が勧める通り、腕時計を買うと思いきや、Aさんは、「俺は、この腕時計が好きなんだ!」もしくは「俺は、そんな安物の時計なんてしないんだ!」とキレれてしまいました。
店員はAさんのニーズを捉えた会話をしたはずなのに、なぜ、Aさんはキレてしまったのでしょうか。
それは、心理学用語でいう、心理的リアクタンスです。
人は「自由な選択」を阻害されると感じたとき、心理的リアクタンス――反発が生まれるそうです。
…わかりやすく言えば、2歳児のイヤイヤ病みたいなものでしょうか。
論理的に考えればOKすべきところでも、NGって言うんです。
Aさんの場合、店員の説得が、高圧的に感じた――つまり「お前の時計は、古いんだから、この時計を買え」と感じて、「時計を買わされる」と思ったのでしょうね。
だから、店員の言葉はニーズを捉えていたものの、Aさんは反発したのでしょうね。
長期的な視野に立つと、心理的リアクタンスは回避できる
関係が長期間継続する間柄(友人、職場、学校など)だと、上記の店員のように、誘い方で失敗しても、誘う時期を変えたりすれば、いいだけの話ですよね。
具体的には…。
ニーズを指摘したものの、見事、心理的リアクタンスを引き当ててしまって、「そんなこと、ないもん!」って、ふくれられてしまったとします。
しかし、大人って、一度、ふくれてしまっても、「なんで、そんなこと言ってしまったのかな」と、反省することもありますよね。
それを待ってからアプローチするわけですね。
つまり、時間をおいてアプローチしてみるというわけです。
だから、長期的な関係を築いているならば、心理的リアクタンスは、なんとかなるものだと私は思います。
※)うまく回避するに越したことはないですが。
で、どのくらい待てばいいのかというと、一概にはいえないのかなと。
私が、とある人と、とある人をつないだときは、半年くらい経っていましたしね。
「種」をまいて、「芽」がでるまで待ってから連絡するというところでしょうか。
ただ、芽が出るまでは、人や場合による…ってわけなのでしょう。
しかし、人脈形成の場合、そんなに簡単な話ではありません。かなり、やっかいです。
だって、初対面に近い状況で嫌われたら、そこで終わりですから。
心理的リアクタンスを回避する策を講じないといけません。
では、どうすれば、心理的リアクタンスを回避できるのでしょうか。
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心理的リアクタンスを回避する方法
私は「自分に非がある」「だから、お願いする」という論理構築をとっています。
たとえば、以下のような言葉を使うようにしています。
・材料1:自分に非がある
「営業成績が悪くて」
「人数が足りなくて(人集めに失敗して)」
・材料2:だから、お願いする
「〜していただけたら助かります」
「〜していただければ幸いです」
具体的な例でみましょう。
Bさんのニーズ:誰か友達がほしい
そういうBさんを「お友達になろう会」に誘うとき。
・心理的リアクタンスが発生しそうな台詞
友達、欲しいんでしょ?友達になろう会を主催するんですが、参加しますか?
・心理的リアクタンスが発生しなさそうな台詞
友達になろう会のメンツが足りなくて。参加していただけないでしょうか?お忙しいとは思いますが、参加していただければ助かります。
ちなみに…。
もっと柔らかく(高圧的ではなく)説得しても、ダメなときはダメです。人の心の状態って、ほんと様々なんですから。
たとえば、仕事でパニックになっている人に、どんな誘い方しても、飲み会の誘いには、乗らないですよね。つまり、説得方法うんぬん以前に、誘う人を間違えると、どんなに素晴らしい説得のテクニックを持っていても、無価値なんです。
だからこそ、数勝負も視野に入れる必要があるのかなと。
ところで…。
「心理的リアクタンス?バカらしい。そんな抵抗にあったことはないよ」と思われた人もいることでしょう。
いやいや、そんなことないですよ。
日本人は、表に出さないことが多いです。
心の中で、キレていて、表では丁重にお断りする人が多いんです。