強弁をふるう人たち〜相殺法

あなたは自転車に乗っていました。
すると、突然、脇の細い道から、Aさんの乗る自転車が猛スピードでやってきて・・・衝突!
幸いなことに、あなたの自転車は無傷でしたが、Aさんの自転車は壊れました。

A:「どこ向いているんだ! 自転車が壊れたぞ! 弁償しろ!」

こういわれると、どうします?
交渉術の本によると「公正な基準」を使え、とあります。
そこで、あなたは「道交法」を持ち出しました。

あなた:「自転車も車両で、道交法が適用されます。道交法では、広い道にいる車両の通行を優先せよ、とあります。わたしがいる道は広く、あなたがいる道は細い。だから、細い道から、突然、飛び出してきた、あなたが悪いですよね」

普通、こう言うと、相手は何も言わなくなりますが、強弁をふるう人たちは違います。

A:「道交法? じゃあ、オマエは今までに信号無視をしたことがないのか?車も自転車も通ってなくて、しかも細い道でも、オマエは、赤信号なら、絶対に渡らないのか?」

これが相殺法です。
「みんな、やっている」「オマエもしたことがあるだろ?」的なことで言い返してくるんですね。


ここで、「わたしは信号を無視したことがない」などというと、「オマエは、うそつきだ」なんていわれて、人格否定されることでしょう(実際、信号無視したことがない人っていないですよね)。その後は、うそつきは、如何に最低な人間なのかという論点、すなわち、論点のすり替えをされて、言い負かされてしまいます。

「それでも法律は守るものだ」なんていうと、「法律がすべてなのか? オマエには人の心がないのか?」のように言われたりしてします。その後、如何に、人の心がない、最低な人間なのか諭されて、

すなわち、論点のすり替えをされて、言い負かされてしまいます。
そもそも強弁をふるう人には、何を言っても無駄ですしね。

相殺法を、敢えて使う人たち

論理で負けそうになれば、敢えて、相殺法を使って、論点をズラす人たちがいます。
戦略の1つとして、相殺法を使うというところでしょうか。

あなた:「また遅刻してきたの?」
Aさん:「ごめん、ごめん」
あなた:「前も遅刻したよね?社会人として遅刻するのは、おかしくない?」
Aさん:「・・・」
あなた:「謝ってよ」
Aさん:「じゃあ、オマエは、社会人になってから、一度も、遅刻したことがないのか?」・・・・・・(A)
あなた:「・・・」
Aさん:「それに、誰だって、遅刻するものだろ?」・・・・・・(A)
あなた:「そういう問題じゃないんじゃない?」
Aさん:「それに、たった30分の遅刻で怒るなんて、心にゆとりがない証拠なんだよ。そういえば、前、食事に行ったときも、少し料理が出るのが遅かったからといって、店員にキレたよな」・・・・・・(B)
あなた:「お客なんだから、『料理が遅い』くらい言ってもいいんじゃない?」
Aさん:「お客=神様ってか。店員も人間なんだよ! たまにはミスもするんだよ!お金さえ、払えば偉くなれるとでも思っているのか?」

きっと、この先、あなたは「店員に対する態度」で、非難されて、「悪い」と思わされることでしょう。
で、遅刻の話は、うやむやにされてしまうのでしょうね。
※)むしろ、最終的に、なぜか、あなたが「ごめんなさい」と謝罪することにもなりかねません。

具体的には、Aさんは、まずは相殺法(A)を使って、その後、論点を「レストランの話」に、すり替えました(B)。
レストランの話は、あなたに分が悪いので、Aさんは、勝てる舞台で戦おうという魂胆です。

ちなみに、Aさんは、昔からこういう性格なのか、それとも、相殺法を悪用しているのか、わかりませんが、Aさんのような口が達者な人は、なかなか手ごわいですね。

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相殺法を使う人への、私なりの対策

私は、相殺法を使う人には、論点を元に戻すようにしています。
あとは、人の心理を利用すれば、たぶん、何とか説得できると思います。

次回も、強弁をふるう人たちの話です。
次回は「はい」「いいえ」で答えろ、みたいに言う困った人たちの話です。

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