人は最初の情報を基準にしてしまう(アンカリング効果)
<ケースA>
「この商品、10万円です」
買おうかどうか迷っていたときに、店員が言ってきました。
「でも、今はセールですから、5万円になります」
・・・何かお得な感じがしますよね。
<ケースB>
「この商品、1万円です」
買おうと財布を出したときに、店員が慌てて言いました。
「あっ、今のは間違いです。5万円になります」
・・・何か損な感じがしますよね。
<ケースAとケースB>
結果的に同じ5万円なのに、感じ方が違います。
なぜ、このように感じるのかというと、人は、最初の情報(アンカー)を「基準」にしてしまう、思考の癖があるためです(アンカリング効果といいます)。
すなわち、ケースAだと、10万円(アンカー)が基準になって、そこから5万円安くなって得したと人は感じます。
一方、ケースBだと、1万円(アンカー)が基準になって、そこから4万円高くなって損したと感じます。
だから、同じ5万円でも感じ方が異なるというわけです。
ビジネスでアンカリング効果を利用
ビジネスにおいて、アンカリング効果はよく利用されていますよね。
有名なものに以下があります。
「定価10万円 → 今なら、5万円」
10万円がアンカーとなり、基準となるので、安く感じてしまいます。
使い古されていますが、やはり手が伸びてしまいます。
ちなみに、私の持論ですが、効果が高い販売手法って、法律で規制される傾向があると思うんですよね。このアンカリング効果を使った価格の操作は、「二重価格表示」として景品表示法で規制されていますから、かなり人の心に突き刺さるのでしょうね。
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詐欺でアンカリング効果を利用
興味本位で、英文の詐欺メールを読むことがあるのですが、このアンカリング効果が使われています。
※)原文は忘れたので、大体、こんな感じだったと思います。
アフリカの×国でクーデターが計画されています。
王族を国外に退避させていますが、国に残した資産500億円を国外に送金するのに手間取っています。具体的には、国外に500億円を送金するには、50億円必要ですが、それに必要な手数料を工面できていません。100万円を貸してください。謝礼金500万円とともにお返しします。
500億円だとか50億円がアンカーとなり、基準になるので、100万円が安く感じてしまいます。
他にも、投資詐欺も同じ手を使います。
弊社は、タイに1000億円規模のエビの養殖場を所有しています。この養殖場は、年に200億円の利益を生み出しており、年利×パーセントを達成しています。
今回、あらたに事業を拡大させるために、1500億円規模のエビの養殖を・・・(省略)・・・。
投資は1口10万円からです。
最初に、1000億円などというのは、アンカリング効果を狙ったものなのでしょう。
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人間関係でアンカリング効果を利用
人間関係にも利用できます。
Aさん:「駅前のケーキ屋でケーキを買ってきて」
Bさん:「15分くらいかかるよな? 面倒」
Aさん:「じゃあ、近くのコンビニのケーキ買ってきて」
「近くのコンビニでケーキを買ってきて欲しい」が本命の頼みごとです。
最初に、面倒な頼みごとをして、アンカーを植えつけているわけですね。
・・・一回、試してみたいのが、以下。
私:「結婚してください」
Aさん:「会って間もないのに、いきなり無理です」
私:「じゃあ、手くらいつながせてください」
・・・冗談です(笑)