両面提示すれば損する

※)一面提示(片面提示)と両面提示の「基本」は以下にあります。
一面提示(片面提示)と両面提示

とある飲みの席で、独身男性のAさんのイメージアップを狙って、以下のように言ったんですよ。

「Aさんって、有名大学卒業で、官庁勤務なんですよ」
※)詳細は変えています。

すると、目の前にいた独身女性は興味津々。
しかし、Aさんは以下のように言ってしまいました。

「企業名はいいんですけど、出世しないですし、リストラがあれば、真っ先に対象になる部署なんですよ」
※)詳細は変えています。

それを聞いた独身女性は、興味がなくなったようでした。
さて、この飲みの席、見方を変えると以下ですよね。

「独身女性に、Aさんをアピールする」
→(見方を変えると)独身女性にAさんを売り込む

売り込むといえば、両面提示と片面提示。
私は片面提示をしようとしたのですが、Aさんは誠実な人なので、両面提示したかったのでしょうね。つまり、Aさんは、独身女性に、メリットだけではなく、デメリットも、きちんと伝えないといけないと思ったのでしょうね。

<メリット>
・有名大学卒業で、官庁勤務

<デメリット>
・出世しなくて、真っ先にリストラ対象になる部署

…この話、両面提示の理解を深める上で、参考になりますよね。
というわけで、Aさんの話を例に出して、両面提示の話を考えていきます。

さて、Aさんですが、私は同じ両面提示でも、かなり「損」する両面提示をしているなと思いました。もっというなら、かなり「得」する両面提示をすれば、独身女性の心をつかむことができるのに、と思いました。
では、どうすれば、「得」する両面提示にすることができると思いますか。

教科書にある「デメリットを提示した後にメリットを話す方法」はお勧めできない

心理学の本には、「両面提示するには、デメリットを伝えた後、メリットを言えばいい」なんて書かれています。 だから、教科書通りにいくと、Aさんは、「出世しなくて、真っ先にリストラ対象になる部署だけど、有名大学卒、官庁勤務」と言えばいいことになりますが…。
学者と違って、実際に「説得」してきた私の意見は異なります。
Aさんのケースでは、教科書通りにしても、全く効果がないでしょうね。

なぜ、Aさんのケースには、お勧めできないのかといえば、教科書にある方法は、例えば以下のような「限定的な場面」でしか使えないと思うからです。
※)もっというなら、教科書は研究がベースですが、研究がベースということは、条件を限定することに他なりませんから。

■極めて時間がないとき
新規顧客の開拓で、「3分間しかプレゼンできない」なんていう場合で、両面提示する必要があるとき。
※)もっとも、極めて時間がないときは、片面提示して、「次」につなげる方がいいと思いますが。

■デメリットよりも、メリットの方が大きく見せれるとき
つまり、(デメリット)<(メリット)にできるときですね。たとえば、以下のようにデメリットを、まるでメリットのように言えば、メリットの方が大きく見せれますよね。
(例)「優柔不断」
→(デメリットをメリットのように見せると)優しくて色々なことに気を遣ってしまって、深く考えてしまう

さて、Aさんですが、Aさんにしてみれば、異性と「次」に会う機会を作れば、時間を作ることができます。また男性に職種を求める女性は、要は「経済的な安定・裕福さ」を求めているわけなので、デメリットの「出世しない。真っ先にリストラ対象になる」は致命的なデメリットで、メリットに見せかけることはできません。
では、Aさん、どうやって両面提示すればいいのでしょうか。

スポンサード リンク


まずは、好意をもたせることが大切

私は「まずは好意を持って貰う」ことが大切だと思います。
まずは好意って、どういうことでしょうか。

他のページに「好意」について書きました。
具体的には、全く同じ行動をしても、好感度が高い人だと許されますが、好感度が低ければ、非難されてしまうのでした。たとえば、全く同じ失敗でも、好感度が高い人だと「仕方がないな」と許されても、好感度が低い人だと「バカやろー!」と怒鳴られます。
これで、Aさんが両面提示するにしても、どうすべきかわかったのではないでしょうか。
そうですね。
独身女性に、まずはメリットを伝えて「好意」を持って貰ってから、デメリットを伝えればいいのです。
具体的には、私が独身女性に「有名大学卒で、官庁勤務」と伝えた後、デメリットを伝えるのではなく、私の話にのっかって、「官庁って、国を動かしているんだよね」なんてメリットを強調するような話をすれば良かったんです。そして、独身女性に好意を持って貰って、親しくなった後に、デメリットを伝えればいいんです。

まずは「好意」を持ってもらう。
それが私が提案する「かなり得する」両面提示です。

スポンサード リンク


ずるい?それともずるくない?

「得する」両面提示に対して、中には「ちょっとズルいな」と思った人もいるかもしれませんが、実は、初対面のときは特に印象に気を使わないと、将来、かなり損してしまいます。
※)初対面の印象はその先のイメージに大きな影響を及ぼします(心理学では初頭効果といいます)。つまり、初対面でいい印象を与えることができれば、その先もずっと印象がよく、逆に、初対面で印象が悪ければ、その先もずっと印象が悪いわけですね。

というわけで、Aさんの場合を考えてみましょう。
メリットとデメリットを同時に言ったとき、独身女性に与える印象は以下になります。

「デメリットで50点マイナス。メリットで100点加点されて、50点」
※)数値は分かりやすいように入れているだけで適当です。

この先もずっと、この50点の印象が影響します。 たとえば、グッチのバックをプレゼントしても、「所詮、50点の男だし」なんて思われるわけですよ。
一方、メリットだけを伝えたとき、独身女性に与える印象は「100点のプラス」になります。 この先もずっと、この100点の印象が影響します。
なので、デメリットを伝えても、50点の減点にならず、10点の減点で済みます。

「メリットで100点プラス。本来は50点のデメリットでも、好意を持ったので、10点の減点で済んで、90点」
※)数値は分かりやすいように入れているだけで適当です。

だから、グッチのバックをプレゼントすると「さすが、90点の男は違う!」なんて思われるわけです。
何が何でも、初対面の印象をあげる必要があるとわかっていただけたのではないでしょうか。

両面提示をしない方がいいかもしれない

かなり昔に、ホスト風のイケメンと話したことがあります。彼の年齢は、どこからどう見ても、25歳くらい。で、私の方が年齢が上と思って話していたら、なんと、彼の方が年上でした。しかも、バツイチだそうで。
で、バツイチって、女性によっては嫌がるらしいので(好かれる場合もあるそうですが)、「いつバツイチって言うんですか?(=いつデメリットを伝えるんですか)」って聞いたんですよ。
すると「そんなの、関係を持った後に決まっているじゃん」って。

なるほど。
「好意」を持って貰ってから、デメリットを伝えるってことですよね。
決して、教科書にある通り、「バツイチで、昭和40年代生まれだけど、イケメン」なんて感じの両面提示はしないわけです。女性にモテるからこそ、なんでしょうね。

「人の思考パターンを読む私の方法」のトップページ