ドア・イン・ザ・フェイス・テクニック
ドア・イン・ザ・フェイス・テクニックというものがあります。
最初に「大きな提案」をした後に、「小さな提案(本命のお願い)」をするテクニックです。
たとえば、以下。
S:「あなたが幸せになるには、このツボを買う必要があります。50万円です」
A:「いやいや、それはないでしょ」
S:「そうですか・・・。残念です。あなたにも幸せになって欲しかったのですが・・・」
A:「・・・」
S:「じゃあ、幸せになれる無料体験セミナーはどうでしょうか」
ドア・イン・ザ・フェイス・テクニックって、こんな感じで、「大きな提案(50万円)」をした後、「本命のお願い(無料体験セミナー)」をします。
上記のような、お粗末な会話だと、ひっかかる人はいないでしょうけど、巧妙に仕掛けられると、つい引っかかってしまいます。
さて、心理学の本によると、このテクニックの裏づけは「譲歩」とされています。
譲歩とは、どういうことでしょうか。
たとえば、こんなケースを考えてみてください。
頼みごとをされて、断りました。
すると、相手が寂しそうに「そうですか・・・。残念です」って言ってきました。
どういう気持ちになりますか。
「何か、悪いな」って気持ちになるのではないでしょうか。
でも、なぜ「悪いな」と思うのでしょうか。
自分の胸に手を当てて考えてみてください。
以下ではないでしょうか。
・相手は、折角、何か、オファーしてくれたのに、それを断ってしまった。
・しかも、相手は、そのオファーを押し付けてくるのではなく、あなたの言う通りに「譲歩」してくれた。
・あなたは「悪いな」と思う。
譲歩してくれれば、今度は、こちらも譲歩しないといけないと思います。
好意の返報性ですね。
だから、相手が、今度は、小さな提案をしてくると、譲歩しないといけないと思う、すなわち、断りにくくなります。
でも、「譲歩」だけなら、最初の願いは「小さな提案」でもいいですよね。
ドア・イン・ザ・フェイス・テクニックは、最初に「大きな提案」を示すことで、アンカリング効果を狙っているのではないかと、わたしは思います。
まあ、現実社会では、(その裏付けさえ知っていれば)ドア・イン・ザ・フェイス・テクニックの裏づけが「譲歩」でも「アンカリング効果」でも、どちらでもいいんですけどね。
要は、以下のように「大きな提案」をした後に、「小さな提案(本命)」をすれば、承諾してもらいやすくなる(承諾しやすくなってしまう)ことを知っておくことが大切なのかなと。
例:10万円します!(大きな提案)→あっ、セール中なので5万円でした(本命)
→(販売員の立場)買ってもらいやすくなる
→(消費者の立場)買ってしまいたくなる